マインドマップソフトを用いた論文の解剖、論文作成前の準備として構造作りのための解剖
はじめに
論文書きを最終的なアウトプットとしたとき、まずはマインドマップでの論文読み・論文解剖をすると良いように思う。
思いついたきっかけは、普段から自分の研究プロジェクト管理にマインドマップソフトのXmindを使ってたことと、100冊読む時間があったら論文を100本「解剖」した方が良いを読んでいたこと。Xmindを使った研究プロジェクト管理は論文書きとけっこう密接につながっているのでいずれ書く。
前提と目的
前提は、
- 何事もマネは大事
- 何事もひとつひとつの要素作りより、構造化の方が難しい
- 論文書きには、どこかにでかい律速段階がある
ということで、これを踏まえて、論文作成のためにリバースエンジニアリングにより論文の要素と構成の関係を把握する。律速段階のうちのいくつかは、たぶんこの方法で解消or軽減されて、論文書きも進みやすくなるはず。
適応症
・論文を書いたことがない
・自分なりの構成作りメソッドが確立できてない、構成作りに慣れていない
・論文セミナーをする予定だけど、論文の要素と全体性の把握がうまくできない
その他、文章でもパワポでも、「構造の把握」と「構造を持った完成品作り」には応用できそうな気がする。
論文解剖の方法
- マインドマップソフトを入手*1
- ショートカットキー設定で、「Enter=並列でトピックを挿入」、「Enter+Shift=下の階層にサブトピック挿入」とする。*2
- 論文をひとつだけ選ぶ。*3
- 読む。読みながら全てXmindに落としこむ。Xmind上のルールとしては、
- 中心トピック名は、「Ishikawa, 2012, Swing and golf」などのキーワードで論文がわかるように。
- 中心トピックの一段下は論文中のセクション分けに準じて、Introduction, MaterialsMethods, Result, Discussionなどを入れる*4
- 論文を頭から読む
- 1パラグラフを読んだら、その中にあった要素をすべて箇条書きで落としこむ*5
- 最終的に、イントロの下に項目・要素が全て箇条書きになったら、パラグラフでの区別などを利用して、できるだけグルーピングする。例えば、イントロは、「ゴルフとはそもそも」、「ゴルフにおけるスイングの重要性」、「これまでの石川のスイング分析」、「今回の論文では目的とするスイング解析」の4つにまとめられたりする。*6
論文解剖の際に重視したいのは、
- すべての要素を、ヌケモレなく、一覧できるようにする
- 要素をただの羅列でなく、グルーピングすることで、全体としての構成が把握できる
- IMRADなど最終的に自分がアウトプットするべきフォーマットに自分の研究を落とし込む意識付けと練習のため、その形を守る
最後にー自分の論文を作成する
やり方としては、ここまででやってきた解剖を踏まえ、自分のデータで、データに合わせた構造を作ること。論文作成上のキモは、どの段階で振り返るか、と、どの段階で他人に叩いてもらうか、なんだけど、そのへんの詳細はまたいずれ書く。
上記の通りで解剖しながら読むと普通に読むより時間がかかるけど、効果はあると思う。やってみてフィードバックがもらえるとありがたいです。
以下、つらつらと考えたこと
完成品を分解する発想
論文に限らず、学会発表、申請書などなど、「完成品」は構造作りから細部まで無数の局所的最適化がなされているはず。それを分解・解剖することで、その完成品の構造や構造化の手法、細部に含まれる工夫などなどが現れてくるはず。その現れてくるものをしっかりつかみ、自らがゼロからの完成品作りを目指すときにマネできる手法や思想、助けとなったり、役立つものを得ようというのが眼目。ただし、解剖するためには「良い構造を持った完成品」を自分が持っていないといけないので、同僚の良いポスターだとかがあったら本人の同意の上でもらっておくと良いと思う。
結果からのリバースエンジニアリング
うまくまとまらないけど、一応書いとく。
学部生とかによくあるケースが
とりあえず実験をしてみて、結果が出たので学会に出ることにした。でも、背景がかっちりしたものじゃないし、結果から何が考察できるのかわからない。
こういう状況では、多くの場合無理やり後付けをして意味を持たせるしかない。*7これをうまく解決する方法論として、「結果からのリバースエンジニアリング」とかできないだろうか。とりあえず自分のデータをXmindに落として、関連論文見つけて、などでたぶんできる気がする。
*1:なんでもいいけど、前述のXmindはフリーソフトでおすすめ。エクスポートしづらいけど、Freemindより書き進めやすい気がする
*2:おすすめ。使いやすい方法は各自で。Enterでトピック挿入はデフォルトかも。
*3:研究テーマが似ている、というよりは、テーマはずれてても良いので自分が作りたい構造に近いものを作ってる論文がおすすめ。Figureの種類が似ているとか、Figureを元にした最終的な主張が似ているなど。
*4:Result内だとかで「Immunoblotting」などさらに細かくセクション分けがされてれば、さらに下の階層にそれを入れとく
*5:めんどくなければ文章をそのまま抜き出しても良いけど、やっぱりめんどいし、効果が下がりそう
*6:読んで書きながらグルーピングしても良い
*7:というか後付けがまったくないということはないので、程度問題だし、ボロの出る後付でなければ他人にはわからない。後付けをうまくするは研究者の務め