デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)

一口に言えば、
デフレ=モノが安い=いいことなんじゃね?
という図式は間違ってるよ、という本。

デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)

デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)


経済学のことは何もわからないけど、デフレっぽい現状はまずい、のと、多少のインフレの方が好ましい、という点ではかなり納得がいった。

若者はインフレ歓迎?

以前から思ってることなんだけど、普通に考えて経済はインフレじゃないとうまく回らないと思う。少なくとも、奨学金で1000万円近く借金することになる自分にとってはそうで、さらに言えば、年功序列とかの給料が安定して伸びていく制度がないのならますますヤバイ。


サラリーマンや学生など多くの人は若いうちに借金をして、少しずつ返済しながら定年退職する頃にトントンになるという図式がある。住宅ローンや車のローン、奨学金などなど。住宅ローンというやたら長期に渡る負債を組んでまで家を買うという制度はまともじゃないように見えるけど、きっと「返済に時間のかかる借金」は高度成長期辺りにできた日本の特徴で、その原因とかを考えるとそろそろ変わるべき点な気がする。が、それはまた別な話。


例えば、住宅ローンで1000万円の借金を20年かけて返すことにすれば、50万円(+利子)/年の返済を行うことになる。自分はそんな計画性もないけど、こういった借金を作る人の多くは将来的に給料や収入が増えることを期待しつつローンを組んでるハズ。

んで、この20年の間にもし、デフレで物価が半分になったら、100円のジュースが50円になりながらも、住宅ローンの額だけ昔のまま残ってたら。たぶん、その時には自分の給料も半分になってて、返済がすごくツラい。

さらに、年功序列的に給料が、20才で20万円/月、40才で40万円/月と伸びていけば、家族が増えたりして出費が増える分に見合うかもしれない。でも、もし年功序列がなくて、40才になっても20才の時と同じ20万円の月給だったら。きっと、このサラリーマンはなんとかして収入を増やすか、家を手放すことも考えなきゃならなくなると思う。


んで、こういう問題はたぶん「個人の借金」「返せない人が悪い」では済まされなくて、社会・国家として「所属する人が幸せに暮らせるか」というレベルの問題。だって、若いうちに借金をする人は、将来それに見合う利益があると信じてる人だし、そういった先行投資をしてる人=リスクをとってる人が不遇にあうのならどんどんリスクのとりづらい面白くない世の中になるから。



経済の知識は何もない自分の推測(憶測)だけど、↑のは普通に考えて想像できること。
経済学的にはたぶん、苦しんでる人が入る分、プラスになってる人がいるとおもうんだけど、もし、労働適齢期の若者が経済的に苦しいことになって、働いてない人がその分ラクになってたら。多分社会としては、伸びシロのないものだろう。


自分の奨学金の場合は返済や就職などなんの計画性もないわけだけど、一般的に現代の奨学金学生は「就職氷河期」だとか「仕事がない」という見えやすいリスクに加えて、こういうデフレ・インフレという「自分では何もできない」将来的なリスクを抱えてる。
ということで、少なくとも若者にとってはインフレが必要で、若者が成長しやすい社会はきっとみんなにとってプラスになると思う。