「キュレーションの時代」☆☆☆☆☆
2/19読了。
タイトルを見て、やられた感があった。自分が大学院に進学したのは、キュレーション的な能力の向上目的ってのがあったから。
大学院で研究をする動機
就職せず、大学院に進んだのは「プレゼン力」をつけたかったから。言葉だったりスライドだったりして、他人に伝える力。自分が思ってる「面白さ」をできるだけそのまま他人に「面白く」伝える能力。んで。この「自分にとって面白いものを他人に面白く、魅力的に思わせる/見せる力」を若いうちに付けたら人生大体楽しくいけると思えた。
研究の最高峰にあるのがノーベル賞。ノーベル賞をとる人はものすごい天才だって思われるんだけど、実は「面白く見せる」「重要そうに見せる」ことの方が現実的に研究の最優先能力だったりする。重要じゃないと思われたら研究費がもらえないし、研究費がなければできる実験が制限されたりするから。だから、ノーベル賞をとるのは、「面白さを伝える能力を兼ね備えた」天才ってことになるんじゃないか。結局はどっちも大事だけど、研究者って普通の人が思うよりは総合力勝負だと思う。ラボのトップは経営者なのです。
んで、面白く見せる・重要そうに見せるには、イントロや研究の背景が大事。同じデータが出るにしても、乗せる文脈次第で見え方が変わる。だから、論文や申請書を書く際は、「自分の乗せたい大きな文脈」より「この結果が最大限輝く文脈」を作れるよう工夫したりする。この辺の文脈作りについては、また別の機会に。
実際、学会や何かで他人の発表を見るのはすごく面白い。面白く見えない発表をどうしたら面白くなるんだろう?って一人で考えたり、ラボ内で誰かがリハーサルをしてる時は「このスライドはどうしたらよくなるのか?」をみんなで考える。自分だったら、だけでなく、他の人の意見が聞けるのが刺激的でしょうがない。
感想
ということで、やられた後での感想。目次とサブタイトルをXmindで抜き書いたものを置いておく。
つくる人と見出す人の新しい関係
ガッテンガッテン!!僕も見出す人側の仕事がしたいと思ってます。
ビオトープをどこに見つけるのか?
マス消費がなくなり、細分化したビオトープが増えていく中でどこへ行けば目的の人たちに会えるのか。ビオトープって言葉をこういう本の中で見つけるとは思わなかったけど、意外にもしっくりくる。
モノを買うことで、人と人がつながる
消費の意味が変わってるって話。背伸び記号消費って言葉は初めて聞いた。最近考えてたことを言い表すのにいい表現だから覚えておきたい。
リアルとバーチャルの関係はどんどんあいまいに
バーチャルな世界は無限に広がる、その中で気持よく情報摂取したりするためには、みんなで視点を共有できるといいよねって話。
セマンティックボーダーという意味の壁
見出す人がモノにどんな意味付けをするか、それ次第で既存の分類が動く動的な世界になってるんじゃね?って話。
こうして書いてみると以前行った大西宏さんの講演会にかぶるところもあるなー。
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
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