「察知力」中村俊輔 ☆☆☆☆☆

4/3読了。
経験は、熱いうちに、言語化せよ - ignorant of the world -散在思考-の最後におすすめとして挙げられていたので読んでみた。

総評

著者は言わずと知れた日本を代表するサッカープレイヤーの中村俊輔*1

この本の中で一番「中村俊輔」を印象づけたフレーズがこれ。

P.164
とにかく僕は、時間を無駄にはしたくない。

時間が大事!っていうそれ自体だけじゃなく、本書を通して強く印象づけられたのがこういう「潔癖なハングリーさ」。本書の内容もこういう潔癖さがもたらしたのか、独特な哲学・感覚を伝える本になっている。また、この潔癖さがあるから、物事に対する「慣れ」を持たない。慣れる前に、「察知力」を駆使して進化していく、っていう人なんだろうと思った。

印象に残った所、抜き書き

P.28
11人の選手、相手チームも入れれば22人の選手がプレーするサッカーにおいて、まったく同じ状況が再び起きることはまずない。そのときどきのシチュエーションに合わせて、自分のプレーを選択しなければならない。答えがないからこそ、参考となる材料はたくさんある。

それって他の場面でも応用できるアナロジーなんだろうか。きっとそうなんだろう。

P.66
「考える」というのを通り越して、「悩んでいる」と周りから見えるほど、サッカーに没頭していた。でも悩む作業が自分を伸ばすことを知っていたから、不安はなかった。
結果、いくつも"引き出し"を増やすことができた。


'01年に股関節故障のため2ヶ月プレーが出来ず、コンフェデレーションズカップにも出られなかったときのこと。

P.85
約2ヶ月間サッカーができなかったわけだ。
(中略)
やることがなく、時間だけはたくさんあるから、自然と考える時間が増える。こういうときは、悪いことばかりを思いつき、考えこんで、ふさぎこむ。
そんな日々を過ごしているとあるとき"無"になった。
"考えすぎ"を通り越して、「もういいや」という感じになる。
開き直ったんだろうね。
そして、「楽しくサッカーをやろう」という気持ちにたどりついた。
一番シンプルで大切な気持ちを手にしていた。

P.100
刺激がなくなったとき、それを手にするために環境を変えることは、ひとつの手段として、当然の選択だろう。しかし、ただ環境を変えるだけでは、ダメだと思う。
「未来の自分」「なりたい自分」を想定して、そのために必要な環境を選ぶこと。

P.136
監督の言葉は、すべて自分のために言っている言葉だと思う

P.147
オシム・ジャパンのなかで、僕は年齢的に上の立場になった。
(中略)
何も言わないよりは、言ったほうがいい。何か言うことで、言われた選手は意識し始める。すぐにうまくいかなくても、そういう積み重ねが大事。意識をすれば行動は変わるものだから。

P.151
他人を妬んでいる人は伸びない

そういう目線で他人を見るのではなく、その人から盗めるもの・吸収できるものを探す目線で他人を見ようぜ!っていうこと。頭ではわかるんだけど、常にそう出来てる自信はないなー。

P.162
僕にとって、「意識し、行動を変えること」は、プレーを進化させるうえで重要なことだけれど、普段の生活でも同じだと思う。

周囲の人に見せる「自分の姿」を意識してるんだぜ!って話。中村俊輔は、「意識してする行動」を大事にしてるのが伝わった。代表戦で「敢えて自分のプレーを出すべきでないと思った」とか、「新天地に行ったら新しい環境に順応しようとしてるのを行動で見せる」など。

察知力 (幻冬舎新書)

察知力 (幻冬舎新書)

*1:W杯の時だけのにわかサッカーファンなので詳しいことは知らん