「スパークする思考」内田和成 ☆☆☆☆☆

「スパークする思考」をより楽しむためには、「コンサルティング入門」を先に読むといい

3-4年前、学部を卒業するかなり前で、就職活動とか将来のこともろくに考えていないときから、兄には「おまえはコンサルとか向いてんじゃないの」って言われてた。で、コンサルティングには興味を持つようになった。その時にいくつか書籍を勧められたが、そのうちの一つが内田和成が書いた「コンサルティング入門」だった。
内容はろくに覚えてないけど、これを読んで、「コンサルって仕事」と今している「研究」はすごく似ていて、作業プロセスの骨格は同じなんだろうと思うようになった。あと、「内田和成」っていう著者は相当な切れ者なんだろうって印象が強く残ってた。
んで、最近になって「スパークする思考」を読み、結果的に「コンサルティング入門」→「スパークする思考」の順に読んだんだけど、この順番があってこその「内田和成」だと思った。
コンサルティング入門」だけだと、「コンサルタントって賢いなー」で終わり、
「スパークする思考」を先に読むと、「この人の考えは変わってるなー」で終わる。

BBTシリーズ8 コンサルティング入門 (BBTビジネス・セレクト)

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スパークする思考を読んだ上で、著者の印象

読む前と全く印象が変わった。頭の切れの良さ=左脳的な能力の高さがすごい人のなのかと思ってたけど、右脳=自分の感性や勘を重視してる人だと思った。オリジナリティの土台たる感覚的な右脳ベースの上に、ツールとする理性的な左脳が論理を組み立てるって感じなのかな。右脳的なオリジナリティがなければ左脳だけ働いてもしゃーない、そんな雰囲気もあった。

「引き出しとネタ」方式

カテゴリーを増やしてみた - ある生物系博士課程大学院生の日記
早速ぱくらせてもらったこの方式。この本の7割ぐらいはこのために書いてあるようなもの。
自分の中に「引き出し」を作り、その中に「ネタ」を仕込む。 ブログで言えば、「カテゴリ」と「エントリ」みたいな関係。著者は20の引き出しにそれぞれ20のネタが入っており、計400ぐらいのネタがあるとのこと。引き出しが異なるネタでも、人の脳みそはそうは認識しない。その結果、引き出しは違っているネタ同士でも関連を持ち始め、新しいアイデア作りに活かされるという。この理由はかなり感覚的・個人的だけど、たぶん誰でも納得できてしまう。さらに、そのために意識的に引き出しとネタを持つようにして、管理するっていうアイデアがすごい。
自分では今のところアイデア出しの必要がさほどない(色んなジャンルでアイデアが出たって扱いに困る)ので、「自分の脳内の持ち物」を人に面白く伝えるための前準備として引き出しとネタを作ることにした。

この本のバックグラウンドはヒトvsコンピュータにある(妄想気味)

推測だけど、著者の持つ「引き出し」のどれかのうちに「ヒトvsコンピュータ」が入ってるはず。コンピュータが活躍し始めた頃から、全ての仕事をコンピュータがヒトの代わりにするようになるんじゃないか?っていう怖れみたいなのを持ってる人は多そう。じゃあヒトにしかできないことはないのか?あるとしたらどんなことか?どんなふうにするのか?
「スパークする思考」に延べられる発想法は、これらの疑問に対する著者の答えだ、そういう風に位置づけられる(位置づけたい)。

おわりに

実践するだけなら「引き出しとネタ」方式だけわかればいい。だけど、なぜそうするのか、どんなふうにするのか、そういった所は実際に読むのが一番わかりやすいはず。
あと、自分の進路としてコンサルはすごく面白そうだと思ってた。が、仕事としては聞くだけでもハードワークで、精神的なプレッシャーもすごいらしい。そういうのを聞いてから自分では無理だからやめようって思った。プレッシャーはともかく、寝れないのは無理なので、「たくさん寝れるコンサル」があったらぜひ知りたい。

スパークする思考  右脳発想の独創力 (角川oneテーマ21)

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