読書に臨む姿勢を2つに分けてみる

きっかけー書評を見てモヤモヤした

アマゾンのレビューで「共感できない」だとか、「全体として非常に面白いけど、この著者がここで言っていることに賛成できないので☆4つ」みたいなコメントを見かけることがある。他人に生かされるべきものとして「客観的な書籍の評価がされている」と捉えるにはちょっと主観的すぎるし、それが「他人が参考にするであろう」星の数にまで反映されてるのはなんだかなーと、そういうのを見るたびにモヤモヤしたものがあった。んで、自分にはよくわからん書評を書く人もいるんだなーという程度の認識だったんだけど、このモヤモヤの原因がわかった気がする。んで、それは自分自身にも生かせそうな認識になるかもしれないのでまとめる。

読書に向かう姿勢は2つ

読書しようとする者の内面を、その人ならではの独自の認識・判断を下すようなコアの部分と、その周囲を固める知識・経験で成り立っていると考えると、「読書に向かう姿勢」は以下の2つで分けられるように思う。

  1. 定数型:自らのコアを定数と捉え、読書からはその外側を埋める知識・経験を得ようとする姿勢
  2. 変数型:自らのコアを変数と捉え、書籍の中に自らのコアを投射・反射させることで、コアそのものの変化をも起こそうとする姿勢*1

それぞれのキーワードを書きだしてみる

定数型読書:

  1. 知識の獲得(自分になり知識の吸収と既存の知識のアップデート)
  2. 非内省的、自己と自己の軸の安定
  3. 著者と文章に責任を求める読書
  4. 批評的/事務的/定型的
  5. 安定志向と自己をリスクにさらすことへの消極性

変数型読書:

  1. 知恵の獲得*2
  2. 自省的、自己を見失うリスク
  3. 自らの非を含めて考慮する読書
  4. 対話的/情緒的/非定型的
  5. 進歩志向と自己を変化させるチャンスに対する積極性


どっちが良いとかではなく、それぞれの短所長所があって、読書をする者が意識的or無意識的に選びとるものだと思う。自分がその本に求めるものが予めわかっていれば、読書をはじめる前に自分の姿勢を決めておけるんだろう。


実際に読書をする際はこのどちらか一つの姿勢で臨むというよりは、その中間のどこかにあって多少偏りがあったりする姿勢になるんだと思う。ここを意識的に使い分けれる方がたぶん合理的。

読書に限らずなんでもそうなんじゃないか

上記2つの姿勢ってのは、たぶん読書に限らず、論文読みや報告書の審査、答案の採点、はたまた人付き合いまで、「自己の外部と接するとき」には同じようにどちらかによったスタンスをとっているものなんだろう。「着実に処理したいもの」や「軽く流しておきたいもの」には「定数型」で、「感情的な交流をしたいもの」や「自分を成長させるもの」には「変数型」で臨むのがよさげ。

だからなんだという話だけど、

これまでの自分の読書姿勢・その他の色々に対する姿勢は、どっちかというと変数型だったように思う。この姿勢でやってきて良かったのは、自分の知らないもの・知らない場所・知らない人に対しアグレッシブにアプローチして取り組んでこれたこと。悪かったのは、得てして「自分のしたいこと」「自分のなりたいもの」を把握しないままで、個々の場面に流されてきてしまったこと。まあ、万物は流転して諸行は無常であり、なおかつ自分のことは自分が決めるしかないので、それでいいのだ/よかったのだ、とも思ってる。


あと、冒頭のアマゾンのレビューの話は、「定数型で読んで、感想をそのままアウトプットした。その結果、レビューは他人への外挿製が低いものになった」ということなんだろう。

*1:外側の知識も得られるけど、優先順位は劣る

*2:知恵は、内面的なコアに由来して判断や認識に関わるもので、単純な知識とは区別して考えてる