研究の各ステップにかける理想的な時間配分について

論文一本にする研究をざっくり、プランニング、実際の実験・解析、考察・まとめ(論文化)という3ステップに分けると、その理想的な時間配分は3:1-10:3ぐらいかなーと思った。以下、ステップ別にその内容。

プランニング:3

普段からの勉強・論文読みとは別で、「この辺が明らかになってないから、どうにかして明らかにするにはどうしよう」と考え始めてから、実験手法など全てを具体化する段階も含めたプランニングのステップ。プランニングがその研究の価値を決定するし、実務上の出来*1をも決めるはずなので、一番頭を使うステップにしたい。プランニングする内容としては、


研究上重要なこととして、

  1. 明らかになっていないこと、の洗い出し
  2. 明らかにする内容、の検討
  3. 明らかになる内容、の意義
  4. 明らかにする方法論、の検討
  5. 実験方法、の詳細な設定
  6. 出てくる実験結果、の予想とそれぞれに対応する次の実験のプランニング

上記の事柄を全てクリアに設定・プランニングできたら、その段階で論文のイントロ・マテメソも大枠としてざっくりと書けるはず*2


実務上重要なこととして、

  1. 実験方法の設定→バックアッププランの設定
  2. 実験にかける期間、の見積もり
  3. 研究を撤退する場合などについての線引き*3

これをしっかりしないと実験が進まない時、ドツボにハマった時の対応ができない。待ち時間が多そうな時期があったりすれば、その期間は他の研究に充てたり、論文よみに充てたりということも計画できる。


実験を始めなくても予め見えてることには全て対応しておき、「こんだけプランがしっかりしてたら、もう実験結果を見てみたいよね、実験するしかないよね」ってレベルまで詰めれると素敵。

実験と解析:1−10(∞)

プランニングをしっかりすることで、この段階を「頭を使わない単なる作業のステップ」にしてしまうのが理想。まあ結果を見ながら考えてってことはあるけど、それを言い訳にプランニングをおろそかにしたまま、実験を始めるのは避けたい。


小ネタには1-3程度の時間、ライフワーク的な壮大な研究*4には∞を、など適切な時間の書け方が大事。小ネタなのに10も時間がかかるなどの非効率なのは避けて、重要さが高いのに3ぐらいしか時間がかからない、などの効率の良い研究テーマを見つけられれば優先してやりたい。ただし、博士課程だとか期間限定の場合、本筋のものをメインとして最初に見積もり、スキマ時間で小ネタに取り組むようにするとバランスが良い。

考察・まとめ(論文化):3

最初のプランニングに対し、どんな結果が出たかを見る。予想できてる範囲内ならプランニング通りに、予想外であれば一旦手を止めて考える期間を設ける。


論文化する前には、論文中に入れる要素・引用文献の検討や、最終的にどんな構成にするか、をしっかり詰める。んで、3日~1週間で一気に文章化・論文化して初稿を完成させる、というのが理想か。


んで、今まさにXmindというマインドマップフリーソフトを使って論文の構造作りをやってみてる。今の計画では、Xmindで、要素洗い出し・ある程度詳細な文章を書き出す・流れを考えた構造を作る、という作業をして、その後それをほぼコピペでワードに落として文章化するだけで論文になる、という流れにするつもりで、時間配分としてはXmind7-8、文章化して初稿作製3-2、ぐらいにしたいと思ってる。あと、以前EndNoteをモニターとしてもらったので今回初めて使うのもちょっと楽しみ。

その他

上記各ステップの比率はそのまま月をあてはめるといいぐらいかもしれない。プランニング3ヶ月で、実験3ヶ月、まとめて論文の初稿を書き上げるのに3ヶ月、とか。最近どこかのラボのサイトで、「ラボに来たら最初の3ヶ月は実験をさせない。その3ヶ月間で、実験したくてしょうがない、というところまで研究計画を詰めるのが最初の仕事」というのを見たのが参考になった。


プランニングについて、何度も書いてるけど「イシューからはじめよ」は必読。白か黒か、どちらかの結果が出ても意味がある、そういうテーマを決めたいものだ。

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

*1:必要な時間・研究費、などなど

*2:実験結果次第なところもあるけど

*3:この実験でこういう結果になったら研究をやめる・方向転換する、など

*4:論文にしたら50本とかになるぐらい